春の訪れをまちわびる街

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フロントガラスから、暖かな光が満ちてきた。
とんびが、上昇気流を捉えて空高く舞い上がり、グライダーのように気持ちよさそうに滑空していく・・・ 
草木は冷たい風に煽られながらも力強く根を張っている。  
 

車は、荒れ果てた田畑を抜け、住宅地を過ぎると、商店街へと入っていった・・・
東京から約3時間半、地方のどこにでもありそうな、ありふれた風景。 
 
ただこの街には人が暮らしていない・・・  
 

福島県富岡町 この町の一部は昨年、一般の立ち入りが解除され、宅地、農地、森林、道路など、様々なかたちで現在除染作業が行われている。
 
およそ三年もの間、時が止まってしまったこの街は、何とも形容しがたい空気に包まれ、主人を無くした建物たちはただそこに佇んでいた。 
 

工事関係車両が道路を行き交い、作業員の方々が黙々と作業を行っている。 数件のコンビ二とガソリンスタンドだけが営業していた。 
撮影の2日間、住民の方の立ち入りを見かけることは一度もなかった。
 
私にとっては何の縁もゆかりもない土地であったが、今後何度か訪れる事になるだろう。 

この街に暮らしていた人々の気持ちを、計り知る事は出来ないが、いつかこの街で人々が、穏やかに暮らせる日が来る事を願い、現場を後にした・・・ 

                                                     豊作                                                                               

春の訪れをまちわびる街” に対して1件のコメントがあります。

  1. Kenji より:

    被災地の惨状をみていません。
    三年もたつのに。
    ありがとうございます。

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